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お題:死神 悪魔 鬼

 彼は朝起きて妙な倦怠感を感じていた。やけに肩が重い。頭も重い。足が上手く動かない。その正体は鏡を見たとき判明した。

「なんだこりゃ……」

 なんと、肩には死神が、頭上には悪魔が、そして足に鬼が纏わりついているのだ。どれも小さな娘の姿をしているが、それぞれ顔が青かったり羽が生えていたり角が伸びていたりしている。

「あのー、とりあえずパジャマから着替えたいんだけど……」

 青年はいかにも年頃の女の子といった感じの死神、悪魔、鬼に告げる。

「ちょっと、乙女の前で着替えるなんて言わないでよ!」

 死神は青い顔を真っ赤にして抗議する。

「しょうがないですね……後ろを向いていますよ」

 頭上の悪魔は冷静にあきれた様子で返す。

「ひゃ、ひゃぁ! 殿方の……」

 足元の鬼は照れて言葉がしどろもどろになっていた。

 青年は無視して着替え始めた。不思議なことに、彼女たちは鏡にしか映らない。肉眼で見ることはできなかった。鏡に映らなければ声も聞こえないことが分かると、彼は鏡を伏せてしまった。

 それにしても死神に悪魔に鬼とは不吉のスリーセブンだ。何かが起こるのだろうか。青年は不安になったが、そのまま外出することにした。街は初夏の風が通り抜け、木々は青々とした枝葉を伸ばしていた。太陽は燦々と輝き、心がうきうきする。

 青年は街の通りを歩いていた。ショーウィンドウには商品が並べられ、青年はそれを見ながら今日の買物を考えていた。そのとき、車が猛スピードで突っ込んでくる! 青年は車の音に気付き、振り返った。

 太陽が雲から現れ、青年を照らした。ショーウィンドウに彼の姿が映る。

「「「あぶなーい!」」」

 その一瞬、死神と悪魔と鬼が彼を車から引き離した。ショーウィンドウに突っ込み動きを止める車。どうやら居眠り運転らしい。

「お前ら、不幸の存在じゃないのか」

「だって」
「危なかったんだもん」
「しょうがないでしょ」

 硝子の破片に三人の姿が映って、消えていった。もう彼は肩や頭や足の重みを感じることは無かった。










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