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お題:人間 悪魔 罪と罰

 悪魔に囚われた人間を彼は探していた。彼はごく普通の青年に見える。コートにマフラーを巻いて、街を歩いていた。街を行き交うひとたちは年末の陽気で楽しそうにしている。だが彼の表情は硬くこわばっていた。

 一刻も早く悪魔を……悪魔に囚われた人間を見つけなければならない。それが彼への罰であった。彼は最初は軽い気持ちだった。だが、それは大きな罪であり、彼に重い罰を与えた。タイムリミットは今日の24時まで。彼は今日が終わると同時に恐ろしい目に合う。それを回避するためには悪魔に囚われた人間を探さなくてはならない。

 悪魔はどこだ……彼は眼鏡の奥で視線をあちこちに向けた。悪魔は取りついた人間の左肩に座っている。それを見つけさえすればいい。彼は時計を見た。23時20分。もう時間が無い。彼に囁く声が聞こえた。

「あと40分ですよ。そこまでは私が手を貸すことができます。あなたの罪はあなた自身で購うのです」

 彼の右肩には天使がいた。彼女は彼に悪魔を視認する力を与えている。はやく見つけなければ……だが時間は冷酷にも過ぎていく。

「あと5分ですよ。しょうがないですね……悪魔に手を出す人なんてそんなにいないですものね。そろそろ左肩が重くなってきたのでは?」

 そうだ、彼の左肩には、いまや黒い靄が姿を現していた。悪魔だ。そう、彼は悪魔の声を聞いてしまった。そして悪魔に触れてしまったのだ。悪魔に手を出した代償は大きかった。同じように悪魔に囚われ……手遅れになった人間を救わなければ天使の力で救済してもらえないのだ。

「あなたの罪は大きいんですよ。罪を贖わなければ……罰を受けてもらうしかないですね。ほら、あと10秒です」

 もうすぐ日が変わる。彼は駆け出したが……もう時間切れだった。彼の思考は悪魔に乗っ取られ、別の彼がにやりと笑った。

 天使はゆっくりと右肩から離れ、星空に消えていった。

「大丈夫、あなたには最後のチャンスがありますよ。悪魔にそそのかされたひとが助けを求めて……あなたを探しているはずですから。それがあなたの罪滅ぼしです」










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