【未来の改変】
未来を変えることは容易ではない。もちろん単純な選択において予知と違うものを選び結果を変えることは可能であるが、それ自体に運命を変える力はない。変わった未来の先で新たな問題に直面するだけである。けれども、ほんの小さな決意が運命を変えることもある

【帝都とキノコ】
帝都は超巨大都市であり、莫大な人口を抱えている。その人口密度も高く、とてもではないが冷涼な気候の帝都で十分な食料を農耕や家畜で賄うことは不可能であった。そのため古来よりキノコが研究され毎日成熟し収穫されるキノコが生まれた。帝都はキノコが作ったのだ

【山羊】
有角四足獣の一種であり、遊牧される姿が灰土地域の東西でよく見られる。生贄としても有用で、神は山羊や羊の血肉を好む。ある地方では山羊のミルクを捧げる風習があり、神像にミルクを振りかける。振りかけられた神はミルク臭い格好で神々の会議に出席するのである

【学校】
魔法の使えない市民の通う学校と、魔法使いの通う学校は明確に区別されており、政府の管轄も違う。市民学校は教導院の管轄で、文字の読み書きや神話を教える。魔法学校は高度な魔法技術を教える場所で、魔導院が支配する。

【帝都の支配者】
帝都には形式上の皇帝が存在する。それは永劫皇帝を冠するスムートハーピィ、グラセウ・ナリアである。彼女は不老不死化され、帝城の奥深く安置されている。彼女は姿を見せることもなく、権力は21人の魔王が握る。

【忘却の街】
北壁山脈の麓にある小規模の都市国家。灰土地域の北方に位置する。草原が広がる冷涼とした場所にあり牧畜が盛んである。残念ながら寒すぎる故に作物は育ちづらく、農業には適さない。観光地としては有名ではなく財政は厳しい。資源にも乏しく、目立たない故に忘却とされた

【市長】
都市国家の首長の中で、小規模の都市の権力者を指す。灰土地域では当然のことながら市長は魔法使いであり、魔法によって都市を支配する。選挙は行われず、議会の指名や先代の市長の指名によって任命される。絶対的な権力を持ち、魔法の使えない市民は怯えて暮らすしかない

【浴槽】
灰土地域の都市国家の多くは、大陸を南東から北西に向かって横断する巨大な大河、聖河に沿って点在する。これは聖河の水資源と氾濫による農地の肥沃化が理由である。川沿いの都市国家は水道橋を建設して豊富な水資源を利用し、湯船にお湯を並々とはって風呂を楽しんでいた

【ガス灯に明かりをつけるひと】
街灯のガス灯は点灯員が各街灯を巡り一つずつ火を灯していく。早朝、同じように点灯員が火を消していく。ヴォイドジェネレーターによる電力の安定供給が実現し帝都の街灯は電灯に変わったが、発電所を持たない地方では引き続きガス灯が用いられた

【魔力の霧】
魔力ガスが充満している空間に、液体に相転移した魔力の粒が浮遊している状態のことを指す。魔力の濃いダンジョン等で見ることができる。しかしいくら魔力の密度が濃くなっても、人体に吸収されて代謝するためには感情が不可欠なので、利用し放題というわけではない

【握手】
友好の印。基本的に片手で握り合うのが通例だが、種族ごとに変わった握手を持つ者もいる。ハーピィの場合、地面を歩く足で握手をするのは失礼とされる。握手の代わりに、翼を広げて舞を踊るのがハーピィ流の握手なのだ。部族ごとに踊りに特色があり、文化として継承される

【戦闘機動鎧】
モスルートが開発した輸出用の量産パワードスーツ。身長2.5メートルの巨体で、250個のシリンダーが埋め込まれ大量の魔法をマウントできる。関節を動かすのはガス圧モーターで、ガスの循環も魔法が行う。都市国家の支配者層の魔法使いに飛ぶように売れたという

【掃除機】
吸引の呪文がセットされた小型エンジンを持つ清掃機械。呪文は安い方だが、やはり掃除ごとに消耗するので高価な機械である。魔女の一派には掃除機の吸引の呪文を利用して魔力を集め一時的にブーストさせる流派もある。高い魔力が必要とされる飛行の呪文を行使する流派である

【煉瓦】
灰土地域で煉瓦を大量生産するうえで障壁となったのが、焼成のための燃料の不足である。魔法で熱を与える方法や、石油スライムの飼育、赤皮獣のフンを燃やすなどによって苦労して作っていたが、最終的には採掘設備の発展によりガスを燃やして焼成するようになった

【鉄条網】
棘のある鉄線。重飛来物防護の呪文によって大砲で陣地を破壊するのが困難となる戦争の中、呪文の抜け道である徒歩での侵入を止めるために多用される。敵兵も飛来物防護の呪文で銃弾を防ぎ鉄条網を処理しようとするが、防御側はそれを超える銃弾の雨を用意できるのである

【センサー】
探知の呪文は術者から遠く離れると効果を失うが、電線やレンズなどによってその知覚範囲を延長させることが可能である。これは望遠鏡によって遠くを見れることと似ている。センサーのみで効果を発揮することはできず、魔法を使う術者かエンジン設備が不可欠である

【人類帝国の版図】
人類帝国に皇帝は存在しないが、無数の都市国家を支配する権力を持っていることから帝国を名乗る。これは旧エシエドール帝国が成し遂げた支配体制をそのまま受け継いだもの。実質的な本土は超巨大都市「帝都」のみであり、植民地を抱える大英帝国のイメージに近い

【魔法陣の綻び】
魔法は人間の編み出した術であり、人間が完全な存在でない以上魔法もまた完全ではない。それはルールを生み出すという最高峰の魔法、魔法陣であっても同じである。いつしかそのルールは人間の不完全な感情から生まれる綻びによって、抜け穴だらけの歪なものに零落する

【大地】
円盤形の世界であり、天動説の世界である。世界の端に行くほど寒くなり、世界の中心がいちばん暑い。中心部の地下にはコアがあり、生命金属の塊だと言われている。パンケーキが積み重ねられているように、古い地層の上に新しい地層の円盤が重ねられている

【ゴーレム】
オートマタ技術の元になった疑似生命技術。古代神秘帝国時代に編み出され、生命なき石や泥に命を与える。命は疑似的な感情を生み、魔法を使用させることができるが、複数の魔法を扱う、状況に合わせて使用するなどは非常に苦手である。命令も単純なものしか理解できない

【不死】
人間には寿命があり、種族ごとに異なるが大体50歳から60歳まで生きれば上等である。一部の魔法使いは魔法によって不死性を手に入れ、永遠の時を生きる。原理的には自分の周囲に常に魔法陣を展開し、「死なない」というルールを設定するのが一般的である

【スケルトン】
骸骨の戦士。ただの骨と侮るなかれ、強力なタフさを持ち、完全に粉みじんに破壊されるまで戦い続ける。関節は磁力の様にくっついているので、骨が折れても新たな関節になるだけなのだ。死霊の一種なので、カウンセリングで悩みを開放させれば浄化してくれる

【生贄を好む神】
神によって生贄を好むか好まぬかは個人差があるが、大抵は喜ぶ。ベルベンダインは好む方の神で、特に生娘の生贄を喜ぶ。殺された生贄はヴォイドと同化し、ベルベンダインの騎士と呼ばれる配下になる。暗黒の鎧に無数の眼球が開く、異形の天使である

【魔力の風】
魔力が加速状態にあることを示す現象。ここから魔法陣を構築できる人間はあまりいないが、魔法陣に絶対必要な技術である。魔力の風自体には特別な効果は無く、示威行為や集中力が高まった際自動的に起きてしまうなどで見られる。女魔法使いは服がヒラヒラする。してほしい

【ソファ】
広く普及する家具。大抵は革張りだが、何の皮を使用するかでソファの性能は大きく変わる。シリンダーを組み込み、化け物の皮を使用することでソファに座ったまま便利な魔法を使えるようになる。リラックスしたり飲み物を出したり。ただ、魔法代は無視できない

【予知】
世界には運命があり、それを垣間見るのが予知である。世界の運命を司る秩序の神々と運命を捻じ曲げる混沌神の、パワーバランスと予知者への影響力によっては失敗することも多々ある。予知を行う際のペナルティとしては、自分の運命が混沌側に傾いていくというものがある

【ヴォイド】
混沌神ベルベンダインが濁積世を創造した折、世界の根幹として創造し採用した物質。ヴォイド鉱という鉱石として産出する。この物質の研究はヴォイド・システムとして体系化され、いま世界で最も強き神であるベルベンダインから力を引き出そうと世界中で研究が進められる

【飛行船の推進】
飛行船は主にジャイロで推進する。ジャイロはフラフープのようなものや、一見プロペラに似たもの、鉄の棒のようなものなど千差万別だが回転運動を行う点は同じである。回転と魔力を利用し、推進力が得られる。揚力のない世界の代替手段で、性能はプロペラほどではない

【生クリーム】
灰土地域にも牛のような生き物は存在し、科学文明であるエシエドール帝国によって品種改良された。乳牛の一種はホヤのような革袋の姿をしており、生クリームやバターに最適な脂肪分の異常に多い牛乳を分泌する。文明崩壊後もこういった改造家畜は脈々と受け継がれた。

【作業用人造胚】
労働力として先にロールアウトされた人造胚の量産モデル。蜘蛛のように細長いロボットアームを自在に動かし、様々な作業を行う。人造胚は半年程度で死んでしまうが、ロボットアーム一式は再利用が可能である。培養中に高速学習され、熟練した状態で出荷される

【窓】
商店用のショーウィンドウや飲食店などを除いて、基本的に窓は小さく頭が一つ入るか入らないか程度である。これはガラスの作製にコストがかかるためで、屋内は昼間でも電球やガス灯を灯す。魔法は視線に乗って効力を発揮するため、魔除けの意味も大きい

【空雷艇】
飛行機の技術が失われ、飛行船の時代になった現代。敵の飛行船を破壊するために生まれたのが空雷艇である。細長い船体に2基のジャイロを搭載した小型高速飛行船で、乗員8名程度の積載を誇る。爆雷を積んで敵の大型飛行船を破壊したり、戦地に兵士を降下させたりする

【ナィレン】
キシュアの南、ニェスの南東にある巨大遺跡都市。かつてはエシエドール帝国の首都であったが、帝国が崩壊し、暴走した都市は放棄された。中心部の高層建築は化け物の巣になっており、後世に築かれた無秩序なあばら家がドーナツ状に遺跡を取り囲んでいる

【魔力】
地中や水中、空気中に存在する物質。人間の感情の動きよって様々な効果をもたらす。常温では気体であり、様々な条件下で液体や固体にもなる。無色透明で毒性もなく、皮膚や粘膜から容易に吸収できる。ただ拡散はしにくく狭い場所に溜まりやすい

【ガス灯】
光源の呪文は確かに便利だが、感情を消費して光る以上人件費が発生してしまう。なので一般的な街や施設はガス灯を使う場合がある。電球という選択肢もあるが、電力は不安定である。魔力が濃いダンジョンなら通行人の僅かな感情に反応して光るもっと便利な魔法が使える

【軽戦士】
衝撃消散の呪文によってある程度は攻撃に耐えられるとはいえ、何発も殴られたら魔法が耐え切れずに崩壊し、無防備になる。これを解決するには装備の素材を重くし強力な魔法を織り込むか、軽い素材で妥協して肉体強化の魔法で攻撃が当たらないほど俊敏にするか、である

【グラス】
ガラスのものはほとんどなく、大抵は陶器……セラミック製のものばかりである。樽のようなジョッキもよく使われる。ガラスを製造するには大量の燃料が必要であり、セラミック技術が発達した灰土地域では陶器の方が量産するコストが低いためである

【宝箱の罠】
宝箱には罠が仕掛けてある。これは宝箱が女神の楽しい記憶から来るためと言われている。つまり、記憶に触れるという無礼な行為に対しての防衛反応だという説がある。罠を解除するには専門的な技術が必要になり、盗賊ギルドに人員を斡旋してもらうか、魔法を使う等する

【狂った視線の≪ベルベンダイン≫】
ベルベンダインは洪積世から存在する古き女神で、真なる姿はアルビノであるが、黒髪白皙の姿で顕現する。顔は黒いインクで塗りつぶされており、目も鼻も口もなく、恐ろしく長い長髪が身体に纏わりついている。興奮すると全身に目が出現する

【視線のメダル】
現在の超文明である濁積世の創造主、女神ベルベンダインの混沌の視線を象徴するメダル。いわゆるマジックアイテムではなく、普通のメダルであり、女神の遊び心から生まれた。この世界には数多くのメダルコレクターがおり、彼らはいつも視線のメダルを買い求めている

【ダンジョン内占拠】
冒険者が一人、あるいは複数でダンジョンに住み、様々な難癖をつける行為。一応合法だが、嫌われる行為ではある。ダンジョン内の魔力は晶虫等の営みで急速に枯れていくので労力の割に合わない一方、枯れた後も占拠を続け、再び魔力が満ちるのを待つ強者もいる

【鉈】
武器といえば鉈やメイスなど。ナイフや刺突剣などは珍しい。これは飛来物防護の魔法を応用した衝撃消散の魔法の影響である。この魔法は慣性を殺す効果を持ち、攻撃は肌の直前で静止する。ただし、重量が効果より重ければこの防御を突破できる。それで重い武器が人気なのである

【生きている道具類】
生きている金属である魂鋼を素材にする、またはエンジンを組み込み疑似的な感情を与えることで生きている道具を作り出すことが可能である。利点は自分で動くため重い道具の移動が楽、魔法を行使させる、話せるので寂しくない、などがある

【バター】
科学文明の崩壊で多くの技術が失われたが、やはり人間は甘く安らぎのある生活を捨てられず、魔法文明の支配する現代であっても唾棄していた科学文明の暮らしを取り戻しつつある。砂糖やバターのようなぜいたく品も、遺産技術を駆使し維持することが許されていた

【編み込みの魔法】
魔法の効果時間はまちまちだが、素材の中には魔法効果を長く継続させる性質を持つものがある。例えると物質によっては熱を蓄える性質があるのと同じである。なので、衝撃消散の魔法・火炎耐性の魔法・冷気耐性の魔法・消音の魔法などは装備によく重ねがけされてある

【魔法の価格】
魔法は消耗品である。そして、魔法を生産するには人間が必要である。強力な魔法使いならば自分で即座に生産し即座に消費することが可能だが、大抵の人間は市場に出回る魔法商品を買うことになる。魔法生産者の人件費と、流通費、その他が魔法を高価にしている

【板金鎧】
素材によってはTシャツでも衝撃消散の魔法を織り込んでメイスの一撃に耐えることができる。そこでなぜ板金鎧が生まれるかと言うと、素材には大量に使えば使うほど効果が増幅されるものがあるためで、金属系の素材を大量に身に纏う方法として板金鎧が生まれたのである

【ダンジョン内商店】
ダンジョンに踏み入る冒険者にも、物を持てる限界は存在する。そういう時、彼らの無用のものを買い取り、有用なものを売りつける商人は冒険者にとってかけがえのないパートナーである。商人は逃走用の魔法を駆使し、結界の呪文で安全を確保し、店を開いている

【オートマタ】
動く人形。疑似的な感情と知能を持つが、あくまで紛い物であり魔法は使えない。しかし身体能力は成人男性を越えるほどであり、疲労も感じない優秀な労働人材である。神秘帝国時代に生まれたゴーレムをエシエドール帝国が改良して量産した。今では過去の技術である

【雑貨類】
一見ゴミのようなものでも、意外な利用価値があり、魔法使いは日夜雑貨類を探している。というのも、ダンジョンに生成される雑貨類の中には、魔法の作製に必要なコードが隠されていることがあるからだ。このコードは神の頭の中にある、世界の法を捻じ曲げる秘密である

【インプラント】
魔法を扱うには魔力という微粒子が必要となる。そして空気中の魔力を自らに取り込むには特殊な訓練が必要となる。そのため、あらかじめ魔力を圧縮する手法が広まった。それがシリンダーという小さな器具であり、それを体内に埋め込んで魔法を携帯できるようにするのだ

【ダンジョン生成物】
ダンジョンには様々なものが落ちており、これは自然にできたものである。神が世界を創造した際、魔力が結晶することで神の記憶にある物が形となって現れる仕組みを作った。それが高濃度の魔力の集積地であるダンジョンでも効果を発揮するのである

【都市国家ギェス】
エシエドール帝国時代に工業都市ニェスの北に存在した都市国家。ニェスの盾となって戦い続けたが、ニェスもまた南から来る敵との戦いで消耗しており、援軍はろくに来なかった。結局ギェスは滅び廃墟となり、ニェスも弱体化した所を魔竜に占領され滅びる

【雲の魔法】
いわゆる毒ガスの魔法。一定範囲内の空気の性質を変える。発動後すぐに拡散してしまうため、射程が短く使いづらいが、効果さえ発揮すればガスの性質次第で何でもできる。威力は大きいが弱点も多く、上級者は魔法陣を使うためあまり発展はしなかった

【戦車】
エシエドール帝国が生み出した破壊兵器。チャリオットでもタンクでもないが、タンクに姿と役割が似ているため戦車と訳す。大砲・装甲・履帯の要素は同じで、搭載されたエンジンの特殊効果が違う。長大な射程と威力のある大砲は脅威である。製造には莫大な費用が必要

【掘削の呪文】
交通インフラ整備や鉱山で何かと重宝される魔法。視界に映った範囲の地面を削り取ることができる。地球においてシールドマシンがゆっくりと岩盤を削るように、掘削の呪文は機能する。削った分は消えるわけではないので、発生した大量の土砂を処理する方法が別途必要

【戦闘魔術師】
空気中の魔力は微量であり、各魔術流派は苦労してこれを利用しようと試みた。呼吸法を改善する。全力で移動して集める。予め魔力を集めておく。諦めて裸足で大地から吸収する。戦闘魔術師は、男女とも裸で全身から皮膚呼吸する。映像媒体ではパンツをはかせよう

【獣への変異・憑依】
人間の心を保ったまま動物に姿を変えることは非常に難しく、時間経過とともに動物の心に塗りつぶされて、人間の心は消滅してしまう。これは動物の感情が人間とは大きく異なるためである。人間への愛情から、人間の感情をなぞることで心を保つ解決策もある

【瓶詰野菜】
灰土地域のほとんどの場所は作物の生育に適さず、少ない農地は麦を育てるのに利用されるため、生野菜の確保はかなり難しい。保存のきかない野菜は瓶詰や缶詰にされて流通する。そのような文化的背景もあり、逆に生野菜の青臭さが受け付けない者も多い

【旧文明的スタイル】
いつの時代であっても廃れないファッションが二つ存在する。一つはスーツであり、街の人間の労働スタイルである。もう一つは鎧兜であり、アウトローの冒険者のスタイル。街でよくすれ違う。共通するのは仕事着であることと、フォーマルな格好であること

【酒場のセキュリティ】
酒場の地下には機関室があり、エンジンが唸っている。エンジンは疑似的な感情を生み出し、魔法を構築する。それによって、音声拡散の呪文を24時間発揮することが可能になっている。燃料は石油スライムだったり、冒険者から買い取った化け物の残骸だったりする

【教会】
グラセウ・ナリア教の宗教施設。グラセウ・ナリアは神ではなく聖人なので、実在する神を信仰する宗教とは少し違う。寄付金を集め肥えたグラセウ・ナリア教は金融事業を始め、教会に口座を開設している。曰く、口座に貯蓄することで気持ちに余裕ができ、徳が高まるという

【手記】
ノートや手帳のたぐいは古代から存在し、様々な歴史的価値のある資料として保存されている。一方巻物は場所を取るうえ読みづらいので、儀礼的な場に残るのみとなった。伝説を作りたいと思う者たちは、こぞって巻物を書き、わざと古く見えるよう加工し、家宝にしたりするものだ

【アヅマネシアの戦争】
城砦を築き戦っていた頃はいくつかあり、「文明が発達して火砲が現れる」「城が用済みになり火力の高い兵器が次々と開発される」「文明が完全に崩壊するまで戦争を続ける」「石器時代のような剣と鎧の時代に後退し、城砦が復活」の流れを何度も繰り返している

【桜の危機】
桜はアヅマネシアを代表する樹木だが、伝染病流行を千年に一度のペースで繰り返している。原因は「サクラクロクサリカビ」という病気で、カビのように表面が黒く煤けることから命名されており、実際にはウィルスである。ウィルスは南の大陸から飛来するという説がある

【濁積世の言語】
ベルベンダインによって創世された濁積世には、6つの言語体系が存在する。それぞれ女神が創造した5つの種族ごとにインペリアル語系、エシエ語系、エルフェン語系、アヅマ語系、オルカ語系があり、先の文明からの伝承である灰積世語系が加わる

【アヅマネシアの城】
石垣を高く積む城が多く、日本の城から天守閣を除いたような姿によく似ている。大砲の発達とともに多くが破壊され、放棄され、古城となって石垣を残すのみとなった。今では観光スポットとして有名になり、ライトアップされたりして地域振興を担う

【竜退治】
竜と他の人間との確執は根深く、それは竜の身体が様々な魔法素材の材料として優秀だったせいであった。竜はかつて各地で乱獲されたが、竜は団結し竜の国を作り、他の人間との間に協定を結んだ。それは、裁きを受け放逐された竜だけを狩猟の対象として認めるという物であった

【王族】
インペリアル人の王族は、始祖であり最初の女王であるインペリアル・ゴールドの純血を受け継ぐ一族で、インペリアル・レッド系、インペリアル・ブルー系、インペリアル・グリーン系の血筋が存在し、これらの血統は王に相応しいとされる。王族の貸し借りや取引も盛んである

【ハンバーグ】
この世界にハンブルグがあるわけでもないが、いちいち「ひき肉を練って固めたものを焼いた肉料理」と描写すると長すぎるので同様の料理をハンバーグと訳す。キノコを培養して食べる帝都や都市国家には肉料理が少なく、ハンバーグなどは蛮族の料理である

【エシエドール諸部族】
灰土地域に広く分布する種族で地域ごとに文化は大きく異なる。インペリアル人と比較すると、若干背が低く、肌が浅黒く、黒髪や赤色の髪の傾向がある。瞳は赤が多い。濁積世創生時に創られた5つの種族のうち、ハイ・エシエドールを起源とし当時の特徴を濃く残す

【積雲シルフ】
地球で言う綿雲のことであるが、水の粒子の集まりでもあると同時に、シルフという生き物の一種である。外観は綿雲に似ていて、大きな顔の形を雲が象る。綿雲同様毎日のように見られるシルフであり、凶暴なクラウドシルフと違って優しく、風を吹くだけである

【感情】
魂が震える現象。その波が魔力の粒子に作用して、魔法が構築され、術者の望み通りに発揮される。そのため魔法と感情は古来より切り離せない関係にある。科学文明によって疑似的に感情の波を発生させるなどの研究が進んだが、結局は人間の意力に勝るものは生まれなかった

【脳】
魂を格納する臓器である。素材として人気がある。魔法使いは一般市民の殺害が許されるので、その辺の市民を殺して奪った方が効率良さそうに思えるが、脳目当ての魔法殺人は一般的にズルイ行為であり、殺人するときは脳を回収しないルールがある。市民が勝手にやるのは大丈夫

【帝都の法】
帝都の法には2つの種類があり、一方は魔法の使えない市民用に、もう一方は魔法使い用に適用される。魔法は全てにおいて優先されるが、そのパワーバランスを解決するために魔法使いを縛らざるを得ない。今回の流通制限は魔法使い間の不公平感を和らげるためのものであった

【死体リサイクル企業】
各地に支所を持つ教導院といえど、帝都の各地から死体が集まり、それらを有用な素材として分別するにはキャパシティが足りず、民間に委託している。社員は死者の尊厳を保つためフォーマルな服で作業するが、ゴム手袋とエプロンを着用することは許されている

【教導院】
科学文明であった先の文明の科学教育を完全に破壊するため、設置された教育機関。創造説を掲げ、神との交信をも行う。そこから派生して、蘇生業務も行うようになった。指定制帽は目玉が覗くターバン。目玉の視界を得ており、魔法をより効率的に使えるようになっている

【哺乳類と爬虫類】
科学文明であるエシエドール帝国は、「哺乳類は爬虫類から進化した」という学説を裏付けるべく奔走したが、実際には神々によって生命が創造された際、爬虫類からインスパイアされてできたのが哺乳類であった。哺乳類型爬虫類は折衷案として誕生し、現在も繁栄する

【鍾乳洞型ダンジョン】
地球の鍾乳洞のように石灰岩が溶けてできた洞窟である。洞窟に魔力が濃く集まるのを利用するため、人為的に鍾乳洞がいくつも作られた。まず縦穴を深く掘り、魔法使いがそこに降りて、石灰石化の呪文を炸裂させる。すると巨大な石灰岩ができるというわけである

【踊り】
魔法の効果を向上させるために取るべき行動や様式は無数に存在し、それぞれ流派となって独立している。踊りを行う流派もまた、いくつか存在する。これは肺から取り込んだ魔力を血液によって身体中に素早く拡散させるために、踊りで血流をよくしているというメカニズムである

【革鎧】
冒険者に広く普及する装備。化け物の皮を加工して作られる。素材となる化け物によって特性が大きく変化するため、革鎧といっても二束三文の安物から板金鎧より高価で性能も高いものまで様々である。素材需要が高いので、皮回収専門の冒険者が存在し、綺麗に皮を剥ぐ技術を持つ

【ハーピィ】
世界中に分布する人間の一種。頭とトルソが一般的な人間で、四肢が鳥のものになっている。分布する地域によっていくつか亜種があり、北境界高地の海抜ハーピィや、光土亜大陸のドラゴンハーピィ、八雲湿原の浄土ハーピィなどが有名。かつて超文明灰積世の支配種族だった

【吸煙】
ハーブや薬草を乾燥させたものを燻して、その煙を味わうもの。地球で言う煙草だが、依存性のある成分は無く単なる嗜好品である(依存性のある成分を添加することもある)。煙はフィルターを通して吸うタイプが主流。燻すための壺とパイプがセットになっており携帯には向かない

【インペリアル諸部族】
灰土地域北部に住まう少数民族。人類帝国の覇権により、多くは特権階級に据えられている。エシエドール人とは大きく異なる生き物であり、両者の間にできた子供は生殖能力を持たない。髪の色は黒から茶色、赤毛など。肌は青白いまでに白く、瞳は緑が多い

【エシエドール帝国の崩壊】
エシエドール人の国家であったこの帝国は、北方の異民族であるインペリアル・ティール人とインペリアル・グレイ人の連合軍との戦争に負けて崩壊した。インペリアル諸部族は魔法大系を古代神秘帝国から受け継ぐ文化があり、科学文明と対立していた

【魔法使い】
魔法を使える者の呼称。魔法を使うのに資質や血統などは関係なく、誰でも魔法は使える。ただしいくつかの条件があり、常人は身体にシリンダーという補助器具を何十個も埋め込む必要がある。常人を越えた、超越的な人間は生身で魔法を使えるが、非常に稀な話である

【ナィレンの衛星都市】
かつてのナィレンは様々な政府機関や企業などが密集した摩天楼の街であったが、それゆえに地価が高騰して住むには不都合な街でもあった。なので普通の労働者は衛星都市から長距離を高速列車で移動して勤めていた。今ではナィレンの列車は暴走状態である

【呪い】
運命を自分の思い通りにする力であり、未来を改変する力である。未来は混沌神の力で刻々と変化していくが、混沌神のごとき力を振るえば、同じように未来を操作することも可能である……が、問題はそれに必要な魔力である。文字通り命を懸けなければ難しいだろう

【熊】
灰土地域の大型獣には、洞窟熊と雪熊がいる。雪熊は主に北方に、洞窟熊は南方に分布する。巨大な体格と恐ろしい筋力、鋭い爪を持ち、一般人はおろか冒険者でさえも手を焼く存在。洞窟熊は人目を嫌って森の奥や洞窟に住むので被害は少ない。その肝は魔力を蓄積し、強壮効果がある

【パン】
麦から作られる食べ物。翡翠台地で栽培されていた麦は、最初灰土地域では育たなかった。しかし、エシエドール帝国の科学力によって品種改良を重ね、灰土地域の主要作物になるまでに普及した。パンは比較的庶民の食べ物で、固く、酸っぱい味がする。保存性は高い

【星空】
天空の神の座が光って見える物。天空を覆うように、魔力が結晶したドーム状の天球が存在し、そこに神が腰かけているのである。神々はそれぞれ遥か大宇宙のエネルギーの受容を行うため、特定の位置に割り当てられている。そのため、星座を通して大宇宙を探る試みがなされてきた

【開墾の奨励】
翡翠台地は手つかずの密林がほとんどを占め、極彩色の鳥や、奇妙な声で鳴く猿などが住んでいる。文明的にも部族社会で後れを取り、なんとか発展させようと苦心している。科学技術レベルでは、滅亡と勃興を繰り返す灰土地域に比べ、安定的に発展したので下地はある

【吸血鬼】
地球の伝承程ややこしい設定が山盛りになっているわけではなく、普通に人種のひとつ。肌が白く太陽に弱いため辺境に比較的多く住むが、希少種である。肌が異様に弱く、治癒でさえ他生物の血液が無ければ再生できない。大きな犬歯が特徴で、変異術に種族的な適性がある

【拳銃】
銃器自体は先の科学文明に生まれたが、それが滅亡し、魔法文明が始まったことによって奇妙な進化を遂げた。まず実包を作製する技術が失われ、残った銃をどうするか考えた結果、鉄の弾を魔法で加速させることを思いつく。魔法使いでなくともインプラント手術で扱えるようになる

【ワクチン】
生き物の免疫を利用して感染への耐性を付与するもの。魔法式のものと、培養式のものと2種類ある。魔法式のものは高価だが圧倒的に便利で、魔法物品を身に着けるだけで効果を発揮するものもある。服の上からでも魔法が浸透し、免疫を作る。病原ごとに調整を要するのは同じ

【探知顕微鏡】
微小なものを観測する際に使用する、探知魔法の増幅装置。通常は顕微鏡と短く呼ぶ。魔法は視線によって効果を発揮するが、視線を収束させることで、小さな物をより詳しく探知することが可能になる。探偵や錬金術師の道具であり、高価なため市民は持つことは無い

【冷房】
魔法によって空気を涼しくする。基本的に魔法は人間の感情が高ぶったときにしか発動せず、機械的に魔法を利用するためにはエンジンという設備が必要になる。つまりエンジンは疑似的に人間の感情を再現する仕組みが備わっており、気分によって弱冷房から強冷房までブレる

【詰襟】
帝都の魔法使いの流派の一つ、五芒星派のスタイルである。学生服のような詰襟に、五芒星が縫われた白い手袋、同じく五芒星の縫われた帽子を被り、視界を垂れ布で遮る。女子はスカートにタイツやスパッツを履く。スタイルとしては秘密主義で穏健派が多い(例外も多い)

【転移の呪文】
テレポートを行う魔法。移動距離や効果の制限などでいくつも種類がある。便利だが、便利すぎる故、犯罪者があっという間に逃げていく。テレポートを妨害する魔法物品もあるが、魔法権利の侵害なので特殊な施設のみ設置された。転移追跡の呪文である程度は追いかけられる

【自白】
魔法による支配はあらゆるものを変えていった。証拠など魔法でいくらでも消せるし、強力な探知魔法に引っかからなければどうすることもできない。結果、犯罪において自白が魔法の次に重視される社会となった。精神の支配による冤罪もあるが、対策しない方が間抜けという話だ

【時計】
古代エシエドール帝国が作った機械式時計は、文明崩壊後も利用され、やがて魔法式時計に入れ替わっていった。灰土地域では体内にインプラントしたシリンダーの中に封入された魔法が時を刻むため、地球のようにチラチラ腕を見て不快感を与えることは無い

【宵闇鋼】
宵闇鋼は鉄に似た金属で、黒く強度が高い。鉱石から精製して作られるが、宵闇鋼の鉱石は氷河に閉ざされたモスルート地方の山中で産出するため、流通量は少ない。混沌神ベルベンダインによって作られた金属で、暗黒物質ヴォイドを創造する際練習として作られたと言われる

【チーズ】
灰土地域の牛といえば乗用の馬として有名な伽羅牛だが、乳を搾るために品種改良したものが古来より存在し、単に乳牛といえばそれを指す。その乳からチーズは作られるが、乳牛は灰土地域外に広がらなかった。翡翠台地ではシンリンウシからチーズを作る

【灰土地域南部】
名の通り灰土地域の南方に位置し、灰土地域に見られる荒れ果てた火山灰の荒野は存在しない。竜芽山脈の麓にあり、山からの雪解け水と湿った西風が潤いをもたらすため、東方辺境のような地獄の乾燥は無い。比較的穏やかで、温暖で、植物が巨大に成長する場所

【帝国ワイン】
人類帝国の官製ブランドである量産ワイン。とりあえずワインが飲みたいときに最適の、安価で、品質の安定したワインである。産地は特に明記されていない場合、灰土地域中央部の大規模葡萄農場。農場はニェスに近く、そこから貨物列車で帝都へと大量輸送される

【絶対的な魔法権力】
かつて存在した科学国家エシエドール帝国。革命でこれを破壊し、樹立したのが魔法国家である人類帝国だった。エシエドール帝国の過剰な魔法弾圧の反動で、人類帝国では魔法が絶対的な権力を得た。科学的教育は否定され、教育は神話とまじないを教えるのみである

【豚】
世界中で飼育される家畜のひとつ。起源は翡翠台地の森林に住むイノシシである。灰土地域には竜の国を通して伝播し、海上交易によって暗黒大陸とアヅマネシアにも渡った。灰土地域には野生のイノシシであるグレイボアが生息しているが、気性が荒く家畜化はされなかった

【探偵】
死霊術を専門とした魔法使いが死霊術師と呼ばれるように、探知の呪文を専門とする魔法使いが存在し、彼らは探偵と呼ばれる。元は自警団の一部だったが、民営化され、様々な探知を行う。生命探知、建築物探知、毒物探知……探知の呪文は多岐に渡り、専門の知識が要求される

【竜の国】
竜が主権を持つ国家であるが、一つの国を指すわけではなく、ドラゴン民族を中心とした連合国である。大陸中央部、竜芽山脈と赤銅山脈の間にある峡谷に存在する国家群。立地条件から積極的に外交せず、中立を保っている。竜の皇帝が6人存在しており、赤竜皇が頂点に立つ

【竜体】
ドラゴンは変異する生き物であり、通常は神々の姿を模した人間体をしている。トカゲの身体、偶蹄類の角、蝙蝠の翼など、一般的なドラゴンの姿は竜体と呼ばれ区別される。竜体は紳士ならば秘めるべき姿とされ、本当に信頼した人の前か、錯乱した状態でしか見ることができない

【光子魚雷】
科学文明を興したスムートハーピィが開発した大量破壊兵器。神々との戦争のために開発された。地上から発射する弾道タイプと、機動兵器に搭載する戦術タイプが存在する。その技術はエシエドール帝国に継承され、実践投入されたが、帝国崩壊と共に技術は断絶した

【ヒト・人間】
いわゆるホモサピエンスのことではなく、人権を認められた複数の知的種族を指す言葉。ドラゴンも人間であり、ハーピィも人間であり、スキュラも人間である。一見ホモサピエンスに見える生物も、モスルート人だったり、エシエドール人だったり、大きな種族差が存在する

【サボテン】
東方砂漠辺境から中原東の荒野にかけて生育する多肉植物の総称。丸いものや、円柱状のものや、うちわ型など、大体地球のものと同じ。植物は時に目覚ましい環境適応を見せる。大地から魔力を吸収し、自らの性質を大きく変えることができる。それが人間の役に立つかは別の話

【魔竜】
狭義では、魔法陣を使える竜である。魔法の領域である魔法陣を生み出す能力は種族差が大きく、一般的に竜は苦手とする。それでも魔法大学で博士号を取れば修得できるレベルであり、無数の魔竜が竜の国にいる。魔竜の魂を込めた魔竜兵器の素材となるため、命を狙われることも

【トラック】
大型蒸気機関を積んだ、走る蒸気機関車とでも言うべき物。セラミックプレートで舗装された交易路を、西へ東へ爆走する。乗用車の倍の速さで走り、帝都と衛星都市の流通を担う。魔法での流通は、魔法を作る労働者の人件費と拘束時間がネックになり高コストすぎて廃れた

【蒸気機関】
この世界にも内燃機関は存在するが、一般に普及はしていない。ガスや石油スライムから生まれる燃料の強い腐食性を防ぐ耐腐食性金属が非常にもろく、大型化するからである。一方、沸騰の呪文という燃料と、お湯の呪文という水をコンパクトに収められる蒸気機関が発達した

【鉱毒】
多様な鉱物が世界中で産出する一方、無計画に採掘した結果、有毒物質が噴出し壊滅した鉱山都市はいくつもある。クノーム市も例外ではなく、最初露天掘りしていた頃はよかったものの、希少金属を求めてさらに深く坑道を掘り始めた結果、作物が育たないほど汚染されてしまった

【身体強化の魔法】
基本的に筋力を強化する呪文で、様々な種類がある。筋力強化の魔法、怪力の呪文、etc。これは魔法の開発者が世界中に存在するからであり、風邪薬に様々な商品があるのと同じである。副作用は筋肉痛、倦怠感、眠気、空腹。心臓に疾患がある場合、医師の判断を仰ぐ

【メートル法】
この世界には独自の単位が存在するが、オリジナルの単位を読者は全く実感できず、かといっていちいちメートル法に換算して、などと断り書きをしていたら140字に納まらない。世界共通の単位を作るという理念に近いので、この世界独自の統一単位は全てメートル法に訳す

【解錠の呪文】
鍵の魔法と解錠の魔法の進化は、互いに刺激し合い、高度に発達してきた。絶対に解かれない鍵と、絶対に開けられる魔法。車のキーは魔法装置となっており、まず通常の方法では不正解錠できない。それを可能にするのが、盗賊ギルドが扱う裏社会の魔法である

【ゾンビ】
労働力として認知されている死霊の一種。滅びつつある肉体を持った死霊である。悪臭と不潔さを抑えるため、いくつかの処置を施した結果、副作用として肉体が急速に劣化していく。主に肉体労働の場で活用され、公共事業の工事現場などでよく見られる

【鶏】
高度に家畜化された鳥類の一種。ヒナは地球のものと変わらないが、成長によって目も鼻も口もなくなり、飛ぶこともできず、歩くこともできない肉塊になる。口の代わりに栄養補給用のノズルが形成され、効率よく流動食を食べられる。科学文明であるエシエドール帝国の産物

【風車の街ガイメルク】
北境界高地の北部に位置する都市国家。市民構成はエシエドール人70%、インペリアル人15%、ハーピィ10%、その他5%。農作物はほとんどを堅麦に依存。畜産は牛の遊牧が盛ん。建築は石と金属、タールを用いる。宗教は虚無教が国教とされる

【シルフ】
かつて魔力なき世界に、魔力が満ちて世界が滅んだ際、最初に魔力から生まれた生命。身体は全て魔力で出来ていて、あらゆる場所に生息している。特に有名なのは大気シルフと、鉱石シルフと、海流シルフ。それぞれ気体・固体・液体の性質を持つ。地球で言う妖精や精霊の類

【建築の呪文】
多くの呪文が、生物を視線で捉えることで効果を発揮する中、非生物を対象にして念動力を働かせることに主眼を置いて開発された呪文。念動力で岩でも持ち上げて攻撃できるのではとも期待されたが、実際には攻撃対象からの精神干渉を受けるため攻撃には使えなかった

【風神タジク】
最も古く、最も強いシルフの男神。青い髪の青年の姿で顕現することが多い。シルフの頂点に立ちながら、権力を振りかざすことなく、自由に生きている。世界の12か所に鎮守のシルフを配置した。世界の中心を囲む8方角に守護神を、四方に風神を任命し、更新している

【ジャイロ】
飛行船のものは、特にプロペラと呼ぶ。回転する鉄の棒で、種類によっては剣のように平たい。この世界には揚力が無いので、地球のプロペラと同じ原理では推進力を得られない。ただし、回転体の回転力によって空気中の魔力に作用し、低速ながら馬力のある推進力を得られる

【東方砂漠辺境】
灰土地域の東の果てにある、広大な砂漠。南には竜芽山脈、東には北境界高地、北には北壁山脈があり、地球のタクラマカン砂漠と似たような環境になっている。雪解け水からなる地下水のルートがあり、それに依存するオアシスの街が点在するが、基本的に人の住めない土地

【魔精】
シルフが魔法の力を帯びて、それを完全にマスターし、魔法の存在となったもの。人間が魔人に、ドラゴンが魔竜になるのと同じである。魔法陣を扱えるレベルであり、人間とは異なる価値観を持つため、しばしば討伐の対象となった。悪戯半分で破壊を楽しむものばかりである

【北境界高地】
灰土地域の東の果てにある巨大山脈。世界の中心から北に南北に伸びているので、北の文字がつく。地球では崑崙山脈辺りの風景に似ているかもしれない。切り立った崖、万年雪の巨大な山、痩せた土地と湧水、あるいは極端に乾燥した荒地。人口はほとんどない

【神に等しき存在】
ある存在を指して、神か、神でないか判断するのは難しい。狭義的には、女神エンベロードを主神とする「神々の会議」に所属する存在を神とするが、強大な力を得た存在が神として扱われたり、神を自称したりすることも多い。エンベロード自身はそういう存在を黙認する

【雨雲】
雨をもたらすレインシルフの巣。クラウドシルフより俗なシルフであるレインシルフは、穏やかで、争いを好まない。空間を切り裂いたような目が球状に集まっている姿をしており、常に涙を流している。単独では存在せず、常に蜘蛛の子のように群れている。大きさは手のひらほど

【スーツ】
科学文明であるエシエドール帝国時代からある伝統的な労働者の服。魔法織りの生地をオーダーメイドで縫い合わせて作るため、非常に高価であり、帝都以外では一部のエリートしか着れない。よく見られるのは格好だけ真似た大量生産品の偽スーツである

【ヌーメルレウン立法審判院】
人類帝国の法を作り、それが正しく運用されているか監視し、時には裁きを行うギルド。いわゆる自治体のことであるが、各自治体におけるギルドの支配率は異なっている。もとは帝都の有力政党であったが、肥大化し、いまや法を支配するとまで豪語している

【蒸気式自動車】
科学文明であるエシエドール帝国が発明した乗用車。馬車のようなデザインだが、引く馬はおらず、代わりにせり出したボンネットに内蔵された蒸気エンジンで動く。地球の蒸気機関よりも小型であるが、出力も小さく、市販のものは時速50kmが精一杯である

【瓶】
科学文明のもとで発展したガラス加工技術は、文明崩壊後は魔法的技術に入れ替わって存続している。魔法で溶かしたガラスを魔法で整形し製品を作る。かつては大量生産が可能であったが、魔法の時代では魔法使いの職人が頑張らなくてはいけないため、生産効率は著しく落ちている

【ギルド】
特定の仕事にかかわる者たちが、それを特権化し、市場を支配するために作った団体。いくつかのギルドは権力を得て、都市国家の政治すら動かすことができる。地方の自治体が、土地の有力企業に対し頭が上がらないのと同じ状況である

【ネズミ色】
衣類を染めるには、鉱物由来の化学染料が広く使われる。科学文明であったエシエドール帝国時代の遺産であるが、染料の精製技術などは科学技術の衰退とともに魔法的技術に入れ替わっていく。灰色の染料は屑鉄鉱石(鉄ではない)の粉末から作られ安価で、ダサい色である

【赤錆】
赤錆鉱石から精製される金属。空気に触れると一瞬で錆びてしまうが、赤い錆のコーティングによってそれ以上腐敗しない。鉱石はとにかく大量に産出するのが特徴で、世界中で手に入り、加工も容易で、日用品などに広く用いられる。採取できる地層が深すぎるのと、脆いのが欠点

【魔力濾過生物】
魔力は、通常の方法では外界から体内に取り込むことはできない。人間や他の知的生物は、感情の力で魔力を扱えるが、多くの化け物は感情を持たず、魔力が摂取できない。疑似的な感情を持つことで魔力を吸収できる生物がいる。それらを食べて魔力を吸収するのである

【紅茶】
灰土地域中部から南部にかけて栽培される茶の葉を加工して作る飲み物。灰土地域全土で好まれるが、北部では生育しないため、交易路によってコーヒー同様北の果てまで流通する。一方、翡翠台地では緑茶が、アヅマネシアではウーロン茶が好まれる

【神による世界の創造】
超文明崩壊と共に破壊しつくされた世界を、神々は幾度となく再生させてきた。現在の超文明、濁積世は、主神エンベロード、副神ベルベンダインの元創造される。古い世界を地層の下に封印し、5つの種族による調和の文明を生み出すが、理想は一瞬で瓦解する

【冒険者】
魔力が高まってダンジョン化した場所に赴き、魔力の結晶を回収したり、魔力を体内にため込んだ化け物を狩り内臓や骨髄を市場に提供する個人事業者。他にも自治体の要請で荒事を解決したりする。魔力が溜まるのは不定期なため、自治体に事業部が常設されることはあまりない

【人面サソリ】
胴体が1メートル近くある巨大サソリ。尾の先が人間の頭のようになっており、敵に対する魔法の阻害といくつかの殺傷性のある魔法を使う。魔法を制御する条件として感情の存在があるが、人面サソリにもやはり感情は存在する。一方知能は低く、気の向くままに狩りを楽しむ

【魔界】
魔法使いの使用する魔法領域のうち、魔人の作る領域を魔法陣、魔王の作る領域を魔界とする。魔界は、その効果範囲、対象とする人物の数、ルールの適用範囲ともに最大規模で、広域で自分の魔法を発揮させることが可能。ただし、局所的な効果を見れば魔法陣に後れを取ることも

【収納の呪文】
物質を圧縮し、保管する魔法である。亜空間を利用するため、理論上無限に物を携帯することが可能だが、合計質量と合計体積は、術者の魔力コントロール量の制約を受ける。敵を圧縮し亜空間に追放する使い方もできるが、対象の意思によって抵抗されることも多い

【東からの風】
風の神タジクの四天王の一人、東風のシルフに吹かせる春の風。東の果ての地に座する東風のシルフが舞い踊り始めると、それは烈風となってアヅマネシアを駆け抜け、北境界高地で雨を落とし、カラカラの風となって灰土地域に到達する。そこで再び潤いを得るのである

【グランガダル廃棄物処理社】
帝都の主要ギルドの一つ。この世にはまともな方法で破壊できないやっかいなものが多いが、それらを分析し、破壊することを業務とする。帝都のゴミ処理業務も請け負っている。赤と青の2色の服を着ているので、非常に目立つ。火炎放射器をよく振り回す

【テレパスの呪文】
言葉を交わさずに意思疎通を行う魔法。交信をする二人の距離が近いほど、簡易で、安い呪文になる。複数人に対して交信する広域テレパスはかなりの難易度。脳内イメージなども送れる。傍受する呪文もあるため、重要なことは送らないか、暗号化する必要がある

【塔】
魔法使い用の生産設備。塔の構造は大地から湧き出す魔力を集中させ、濃い魔力密度を生み出すようにできている。一歩間違えばダンジョンだが、魔法使いの管理下にあるうちは、いくつもの大型魔法物品を稼働させる魔法工場として安全に機能する。たまに暴走する

【クロスボウ】
ボルト(クロスボウの矢)を射出する機械弓。世界中で広く普及している飛び道具。地方によっては連弩が採用されていたりする。シリンダーが内蔵されており、魔法巻きという手法で手軽にボルトを装填できるため、騎兵でも扱える便利な武器。飛来物の防護の魔法が天敵

【恵比寿】
釣りの聖人メレシエッキを、日本語に訳したもの。メレシエッキは太っちょの釣り人で、座って釣りをしすぎて両足が腐ってしまったという伝説がある。笑顔の絶えない、誰も傷つけない聖者であった。後に神と崇められ、全ての釣り人の信仰を受ける

【猟兵狂戦士の《ルーンノア》】
赤髪でルビーの目をした狂戦士の男神。勇ましい青年、または赤毛の狼の姿で顕現する。魔法使いの殺害を至上の喜びとし、魔法使いを殺した信者に喜んで褒美を与える。魔法文明の支配する灰土地域では、彼は自分の主張を曲げて戦いの神として居座っている

【火焔ヒマワリの街】
火焔気球の街から荒野を東に行った先の都市。都市国家であり、国家元首には火焔気球の巫女を象徴的に据えて、実権は魔法使いによる議会が握る。痩せて乾燥した荒野が広がり農業は無いが、ガスのパイプラインを管理しそこそこにマネーで潤っている

【ゴリラ】
森林に生息する大型獣。人間に似ており、かなり体格がいい。灰土地域南部の森林に生息するグレイゴリラ、翡翠台地に生息するジェイドゴリラ、暗黒大陸にもカオスゴリラという亜種が確認されている。争いは好まず、温厚なため、森林開発もあり生息数は激減している

【アーティファクトの流通】
アーティファクトは、突然ただの人間が作成する偶発的なもの。その力はピンキリである。強いものなら、その土地の自治体は債券を刷ってでも手に入れるだろう。悪用すれば騎士によって討伐され、アーティファクトは奪われてしまう

【用語解説】 【気圧計】
別名シルフ探知機。シルフの存在濃度を測る装置であり、クラウドシルフなどの強大な気象妖精が接近するとメーターの針が動く。基本的に天気と言うのはシルフの気まぐれで決まるため、予知を使わなければ気象予報は不可能である。気象予知専門の予知術師も人気の職業である

【アヅマネシアの重工業】
金属の鉱石が大量に産出し、セラミックが普及する灰土地域とは違ってあらゆる場所に金属が使われる。特に造船業が盛んで、軍艦である突撃艇駆逐艦が毎年のように進水し、沈められている。ただ、内戦で生産性は年々衰え、鉱山は閉鎖し、ジャンク漁りが蔓延る

【突撃艇】
装甲で覆われた簡易ボート。機銃が1丁装備されており、爆雷を搭載できる。潜水騎士を6人まで搭乗させることが可能。これで敵の船舶に肉薄し、爆雷で攻撃する。水中適性もあり、短時間なら潜行も可能。各地に潜んでいるいる潜水騎士の足として普及している

【潜水騎士】
アヅマネシアに広く普及する兵種。元は高潔な魂を持った戦士であったが、戦争で消耗するうちに海賊紛いの存在になってしまった。彼らは潜水服を着て、静かに海中に潜伏する。船が通りかかれば、爆雷の槍で沈める。海中から空気を取り出し、泡を出さずに排出可能である

【アヅマネシア】
世界の中心から北東の一角を占める、広大な海。そこに点在する様々な諸島、列島を指す。他の地方には見られない独特の文化や風習、固有の言葉を持ち、人種もアヅマネシア人がほとんどを占める。灰土地域とは違い、魔法と科学が融合した文明が続くが、戦乱は絶えない

【神秘帝国】
濁積世の初めに、灰土地域で興った最初の国家。魔法を中心とした国家で、この時代に濁積世で使われた魔法の9割が開発された。しかし、最後は時を超えて現れたスムートハーピィの一族によって滅ぼされることになる。一部の国民は山奥や辺境へと逃げ、後に魔女になる

【遺跡】
遺跡は大きく分けて2種ある。ただの建築物の廃墟と、ダンジョンである。ダンジョンはエシエドール帝国時代に作られた施設で、魔力を集積し、様々な工業製品を空気中から生成する。製品は無造作に床に転がっているため、遺跡に潜り込んで拾いに行く冒険者が後を絶たない

【死霊浄化】
死体や霊魂を安らげる場所へと送り、現世とのつながりを断ち切る儀式。宗教的なものと、そうでないものがある。神に捧げる場合、捧げられた死体や魂は神の一部となり安らぎ、儀式を行ったものに神はお礼を授ける。死後の世界は「彼方の国」とも呼ばれ、死後魂はそこで憩う

【セリキラル精神交霊団】
この世非ざる者との交霊を目的に設立されたギルドで、人類帝国の主要ギルドの一つ。現在は世界中で問題となっている死霊の害を解決するために奔走している。呪いの解呪も行っており各地で活躍するが、武闘派ではないのでもめ事は起こさない方のギルドである

【天使・使徒】
神の下僕として働く者たち。魔力の塊で出来ており、何らかの魔力を帯びたエレメントの姿をしていることが多い。多くは神の足元から自然発生するが、人間が自らの命を犠牲にして転生することも可能である。神々はそれぞれ個性的な使途を生み出し、共通点は少ない

【漁船】
漁船はエシエドール帝国時代に開発された蒸気エンジンによって推進するものが多い。科学文明崩壊と共に、蒸気エンジン製造技術は失われる。そのため、蒸気エンジンは壊れたら二度と再生することはできない。暴走した生産施設から命がけて回収するほかないのである

【針葉樹】
灰土地域の北方、極北冠状荒地からモスルートにかけて生育する樹木。北部は寒すぎて碌な植物が育たないが、寒冷地に適応した針葉樹だけはよく育つ。建材や燃料として役立ち、木材のチップはキノコの栽培に活用される

【海神グレイソフィア】
流積世の勇者であるグレイソフィアが、死後女神となる。灰積世の時代に神々の海軍を率いることとなったが、戦果は悲惨なもので最終的にすべての艦艇を失い自身も瀕死となった。濁積世に代わっても人材不足から海軍司令の任を引き継ぐ。スキュラの氏神である

【切り裂き七人衆】
「切り裂き〜」の名を持つ変態怪人。7人は活躍した時代も場所もバラバラだが、性癖が似ているのでひとまとめにして扱われる。彼らは皆アーティファクトの刃物を操り、人々を恐怖に陥れるが、全員魔人パラファラガムスの剣の相手となって殺されている

【月】
内部まで完全に都市化された人工物であるが、その起源は古すぎて神々すら把握していない。魔力を司る月齢神たちが、闇のヴェールで月を覆うことで月が満ち欠けしているように見える。神々と使徒の住まう世界であり、銀のビルディングの間に霊力の泉が湧き、運河となって廻る

【写真】
科学文明であるエシエドール帝国が発明した写真機は、構造が単純であったため文明崩壊後も技術が断絶することは無かった。カラーと白黒が存在するが、一般的に使用されるのは白黒写真で、日光に長期間晒されるとすぐセピア色に退色してしまう。

【鎧脈装甲】
モスルートにのみ普及する鎧兵の装備。魔力の脈が通っており、暖かく、何倍もの力を出せる。この技術はモスルート神聖宮殿の地下に保管されている黒曜六面体よりもたらされた。黒曜六面体はそれ自身が意思を持ち、モスルートにオーバーテクノロジーを供与する

【モスルート共和国】
灰土地域の北部、北壁山脈に囲まれた寒い国。国土のほとんどがタイガとツンドラで構成される。ほとんどの作物が生育せず、家畜とキノコが主な食料。魔法使いに支配される他の灰土地域の都市国家とは違い、魔法の使えない人民も政治に参加できる珍しい共和制国家

【タマネギ】
灰土地域の中東部、乾燥した荒野が広がる地方原産の作物。球根の保存と流通が簡単なため、竜の国を超えて翡翠台地まで広がった。一方、北境界高地を超える流通ルートが無かったため、ドラゴンハーピィの帝国やアヅマネシア連邦には届かず、その地方では長ネギを食べる

【魔法の制約】
様々な効果を持ち、余りにも便利すぎる魔法ではあるが、いくつかのデメリットや制限がある。その一つが、使うと腹が減るということだ。水道代わりにお湯の魔法を乱用すれば、きっと食費が何倍にもなるだろう。細胞内で魔力を代謝する際に糖分を必要とするためである

【馬】
移動用草食獣の総称。哺乳類に似た獣だったり、陸を走る鳥だったり、トカゲだったりする。エシエドール帝国が開発した蒸気機関自動車は時代と共に老朽化して失われ、魔法使いは自由に魔法で移動できるので、市民は馬に頼らざるを得ない時代に移り変わっていく

【魔法店】
魔法札を売る店。大きい店舗だと、身体にシリンダーをインプラントするための施設も備えている。シリンダーは5mm〜2cm程度の透明な管で、魔法を封入し高速展開させるのに使う。ただし封入状態は不安定で容易く失われるため、使う分だけ魔法札を消費する

【生贄】
神々への捧げものとして有名。家畜や人間を殺し、神への供物とする。別に最初から死体でもいいが、ご利益は若干薄まる。自らの命を捧げるのが最大の功徳であり、それによって使徒へと転生することもある。捧げられた命は、神と同化し、安らげる場所へと行くとされている

【灰土地域の土壌】
灰土地域は降灰戦争によって降り積もった火山灰の土壌が特徴である。西部は湿地が多く、土地が酸性化している。北部はツンドラ、東部は砂漠化しており、植物の育成は南部しか望めない。そのため、都市部では食糧問題解決のためキノコの培養が発達した

【聖河】
北の北壁山脈の雪解け水と、南の竜芽山脈の湧水を水源とする灰土地域最大の大河。北西の果てで海と交わる。支流がいくつもあり、豊かな生態系を築き、都市へ恵みをもたらす。聖河スキュラが生息し、自治権を主張し、通行料を要求したため水上交通は発達しなかった

【操齢の呪文】
加齢の呪文、若齢の呪文、還齢の呪文が有名。好き好んで歳を取りたいものは少ないので、加齢の呪文は高く流通数が少ない。若返りができる若齢の呪文は需要が高く品薄である。操作した年齢を本来の年齢に近づける還齢の呪文は、恋人に使ってがっかりする魔法ナンバーワン

【ナィレン】
灰土地域中央に存在する遺跡都市。都市の中心には、巨大高層建築物群が存在している。だが、住人はおらず、暴走状態で化け物の巣と化している。住人は高層建築を取り囲む粗末な建物で暮らす。産業はほぼ壊滅したが、交易の中継点として辛うじて経済が成り立つ

【春】
北風の神が北極から吹き付ける風を止めて、東風の神がアヅマネシア群島からの温かく湿った風を送るころ、灰土地域に春が訪れる。灰土地域は四季がはっきりしており、春は若草や苔が萌える季節。渡り鳥が東風に乗って灰土地域に飛来し、雪熊たちは寒さを求めて北上を開始する

【電信】
電気信号送受信能力付与電線網の略。地球で言う電話だが、音声のほかに、電報を送信しパンチカードに出力させたり、モールス信号のようにカチカチ鳴らして交信したりできる。電波による無線が発明されて、より便利になった。大都市や主要交易路にしかないシステムである

【コーヒー】
灰土地域南部の熱帯地方で栽培されるコーヒーの木の実から作る飲料。紅茶と並んで人気がある。収穫されたコーヒーは、南部のプランテーションからクノーム市を経由し、ナィレン、ニェスと交易路が続き、北西の果て帝都にまで到達する。地方ごとに変わった飲みかたがある

【魔法物品】
偶発性が高いアーティファクトと違い、魔法物品は想定した性能の物を安定して生産できるのが特徴。しかし、その性能自体はアーティファクトに遠く及ばず、ちょっと便利な機械程度のお役立ち。誰でも扱うことができ、世界中で使われている。地球で言えば、電化製品だろうか

【霊コンサルタント】
人類帝国の主要ギルドの一つ、「セリキラル精神交霊団」のサポートを受けて運営される事業。霊に対するもめ事を解決する。個人で店を開く場合が多く、中規模以上の街では必ず見られる。未熟な若い相談員は、店を開く前に農村を渡り歩いて経験を積む場合が多い。

【クノーム市】
灰土地域中央部にある中規模の都市。露天掘りの跡にできた街で、そこらじゅう穴だらけで深い亀裂が縦横に走っている。絶壁の上に立つ赤煉瓦の街並みが美しく、観光地としても名高い。
クレーター状の外観で、鉱毒により植物はほとんど生えていない。食料は輸入に頼る

【帝都】
人類帝国の首都。地球で言えばイングランドほどの大きさがある超巨大都市。魔法使いが支配する世界であり、魔法使いの上には魔人たちが。さらにその上には21人の魔王が統治者として君臨する。魔法使いたちの材料として、魔法を使えない無数の帝都都民が生活し消費されている

【教導院】
人類帝国の主要ギルドのひとつ、ベルベンダイン教導体の総本山にして人類帝国政府の機関。宗教・教育・蘇生などを担当している。議会や統治者などから一歩離れた立場にいる。人類帝国の支配者である魔法使いよりも、魔法の使えない無力な人民を相手に活動するからである

【アーティファクト】
偶発的に、何の変哲もない一般人に天啓のような直感が閃くことで作られる不思議な物品。魔法的な構造が組まれ、誰でも扱える力となる。それは権力と金を動かし、作成者の人生は大きく狂うことになる。その性能や効力は千差万別で、世界中の騎士がそれを求める

【混沌神】
この世に災いをもたらす白子の3神のこと。混沌の視線ベルベンダイン、混沌の哄笑イミドア、混沌の接触スキゾグリプス。悪神ではなく、あくまで災禍を司る神であり神々の会議に正式に属する。異端である神の信仰の中でも混沌神の信仰は異端中の異端である

【ニトロスライム】
古エシエドール帝国が科学によって作り上げた不定形生物の一種。燃料となる石油スライムや食用スライムなどの亜種がある。餌は家畜用飼料や植物の破片で、爆発的に増殖するため各自治体によって管理される。稀に下水道で繁殖し街が吹き飛んだりする。舐めると甘い

【古代エシエドール帝国】
人類帝国成立以前に存在した科学文明。首都は灰土地域中央に位置するナィレン。エシエドール人の国で、支配者は彼らに科学技術を教えたスムートハーピィである。魔法を弾圧し、科学技術によって制御しようとしたが、結局は魔法文明である人類帝国に滅ぼされる

【耳長族】
灰土地域から南、竜芽山脈と赤銅山脈を越えた先にある翡翠台地。そこに住まう民族。耳は尖っており、長い。肌は白く、金髪や青髪などの鮮やかな髪色が特徴。部族社会を築くが、文明レベルで言えば人類帝国とそう変わらない。外交的には不干渉であることが多い

【ジェットエンジン】
地球の物とは違う原理で動くエンジンであるが、性能や挙動が似ているためジェットエンジンと訳す。魔力を圧縮して噴出する原理のエンジンで、複雑な機構をしているため人類帝国には再現できなかった。灰積世に栄えたスムートハーピィの知識を利用している

【埋立地】
帝都の海岸線沿いに広がる開発エリア。帝都から臨む海は遠浅で黒いヘドロが堆積しており、とてもじゃないが海水浴などできない。ヘドロは文明の結果ではなく、流れ着く火山灰が堆積したもの。危険な生物が多数生息しており、百害の元なので容赦なく埋め立てられる

【セラミックプレート】
人類帝国に広く普及した建材。手のひらの乗るサイズの長方形で、それをタイル状に敷き詰めたり壁に張ったりする。汚れが落ちやすく、破損してもすぐ交換できる。灰土地域の火山灰が原料で、非常に安価、かつ大量生産が可能。大都市では必ず見られる

【人造胚】
トルソに頭のついた、銀髪赤眼の人工生命。瞳には3つの瞳孔があり、赤い光線が漏れる。最終的に虚兵の両肩と胴体、背部に1体ずつ接続して運用された。ヴォイドジェネレータの制御を行う。最終戦争末期には1日に300体生産され、もはや総数が何体いたか分からない

【ルーデベルメ工廠】
遥か昔、人類帝国の成立より昔にルーデベルメ博士が設立したギルド。博士の夢である虚兵計画実現のため、その理念を秘匿し科学を独占する巨大ギルドに成長した。しかし博士亡き後、ギルドは腐敗と拡大を続け美しい夢であった虚兵計画でさえも澱んだ存在に零落する

【人類帝国】
科学文明であったエシエドール帝国を打倒して、灰土地域の北西の果てに築いた魔法帝国。魔法を至上とし、魔法使いによって支配されている。人類の支配者を自称し、灰土地域に多くの衛星国家を従える

【飛行船】
魔力気化ガスを気嚢に詰め込み空を飛ぶ船。蒸気機関エンジンのプロペラで推進する。飛行機が発明されたのは大分後の時代である

【積乱雲】
クラウドシルフの巣である。よく雨を降らせる。クラウドシルフは凶暴な精霊で、もし積乱雲の中に迷い込んだら生きて帰れないだろう

【灰土地域】
聖跡宮の濁積世における、大陸の北西部の大きい平野。細かい火山灰の砂で土地は灰色をしている。植物が育ちにくい環境で木々は南方に密集している

【鉱石シルフ】
鉱石に生息する精霊のようなもの。基本的に凶暴性は無く、石のように静かである。住処の鉱石によって、ある程度性格が違う

【心臓】
魔力で動く臓器。儀式や実験で重宝されるため高値で売れる。食べることもできる

【ケイヴドラゴン】
ケイヴドラゴンは流積世時代に現れた海竜の子孫。現在の海では絶滅しているが、ケイヴドラゴンを始めとした数種の水生ドラゴンが僅かに生き残っている

【地層】
地層は歴史区分によっていくつかに分かれる。最も古い地層は洪積世で、最も新しいものが濁積世である。かつて大いに繁栄した超文明ごとに区別される

【エベンジェ】
ナィレンのさらに南にある寂れた旧都市。エシエドール帝国時代はナィレンの衛星都市として栄えたが、帝国崩壊とともに急速に衰退し、いまでは老朽化した廃墟の高層建築が立ち並ぶ墓標のような場所

【エシエドール革命軍】
失われたエシエドール帝国再建のため各地でテロ活動をしている過激派。人類帝国政府から危険視され、武力衝突を起こしている

【コヌミク・クッキー】
コヌミクの種子を乾燥させたチップを生地に練り込んだクッキー。地球のアーモンドに似た味。チップにはほのかな甘みがある。不思議な成分が身体を活性化させ、精神を高揚させる。カフェインに似た効能

【亡霊】
知的生命の妄執が生みだしたエネルギーの残滓。死後世界に取り残され、感情のままに動き、目的や手段はだんだん変異していき、最後は破壊衝動の塊になる









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